リハ栄養で役立つアルブミンの見方

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患者さんの栄養状態を把握する目安として、最もポピュラーなものは血液検査のアルブミン値(Alb)でしょう。「Albが2.0だから栄養状態がかなり悪いな~」「Alb3.6だし、まぁまぁ大丈夫かな」のように、栄養状態を把握しているセラピストも多いでしょう。しかし、アルブミンはただ数値を見るだけでは正しく把握することは出来ません。この記事ではアルブミンって何?何に気を付けて見れば良いの?という事を紹介します。

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血清アルブミン

冒頭でも述べたように、患者さんの栄養状態を把握するのに一番使われる検査値でしょう。血清アルブミンは血漿における蛋白の60%近くを占めている重要なもので、浸透圧調整・栄養代謝産物薬物の運搬などの働きを行っています。アルブミンは栄養状態を示すため、「≒栄養状態」と把握しておいても間違いはありません。基準値は下表のようになっています。

アルブミン値 状態
3.5~ 正常
3.5~3.1 軽度栄養障害
3.0~2.1 中等度栄養障害
~2.1 高度栄養障害

ひとまず『3.5g/dl以下=栄養障害を疑う!』と覚えておきましょう。

(参考:治療に活かす!栄養療法はじめの一歩)

低値≠低栄養

しかし、アルブミン値が低い時は全て低栄養というわけではありません。アルブミン値は他の疾患などの影響により高値・低値を示すことがあるため、注意が必要です。栄養不良以外の原因は4つ考えられます。

  1. 合成低下
  2. 分泌液への喪失
  3. 代謝亢進
  4. 水分量の変化

1つずつ順番に見ていきましょう。

1.合成低下

アルブミンを生成することが出来なければ、体にアルブミンがなくなってしまうので数値が低下します。体でアルブミンを生成するのは「肝臓」ですので、肝臓に何らかの疾患を来すことでアルブミンが低値を示します。代表的なものは肝硬変です。Child-Pugh分類と呼ばれる、肝硬変の重症度を決める評価基準にアルブミン値があるほどです。アルブミン値が2.8以下となるほど重度な肝硬変であれば、蛋白生成能力はほとんどないと考えてよいでしょう。

memo:肝臓

肝臓の働きは判明しているものだけでも500以上にあり、非常に複雑な臓器。主なものとして代謝・排出・解毒・体液の恒常性維持・胆汁分泌による消化作用がある。蛋白に関しては、食物に含まれる蛋白質を小腸でアミノ酸に分解・吸収し、肝臓へ送られることで組み換えが行われます。アルブミンは一日10~15gを肝臓で合成します。

2.分泌液への喪失

肝臓での蛋白合成が行われても、尿・便といった分泌液として喪失してしまっては元も子もありません。もちろんアルブミンは低値を示します。このような状態に陥る代表的な疾患として、ネフローゼ症候群・吸収不良症候群・火傷が挙げられます。とりわけネフローゼ症候群は重要となるため、覚えておきたい。

memo:ネフローゼ症候群

蛋白尿による低蛋白血症を起こす腎疾患の総称。症候群であり、1つの原因によって生じるものではない。一次性ネフローゼ症候群とは腎臓自体の疾患によるもの、二次性ネフローゼ症候群とは全身疾患の随伴症状として生じるものがある。若年層における発症が多いのが特徴。症状としては蛋白が尿中に流れてしまうため、倦怠感・皮膚の蒼白化・浮腫などを来す。尿検査における尿蛋白値、アルブミン値、身体所見(+高脂血症)を合わせて見るように心がけることで、低栄養との判別が行える。

3.代謝亢進

蛋白を作って・貯めこめれば大丈夫!というわけではありません。体にある蛋白を壊してしまう状態でもアルブミンは低値を示しす。代表的な疾患として甲状腺機能亢進症・炎症性疾患が挙げられます。特に甲状腺機能亢進症については押さえておきたいところです。注意すべきは甲状腺機能亢進症によって入院していない場合です。何故なら他の病気やケガで入院しているのに、甲状腺の状態をチェックすることは少ないからです。また、過去に甲状腺機能亢進症になったことがある人は気付かない内に再発している事もあるため、注意が必要です。

memo:甲状腺機能亢進症

心拍が上がる、エネルギー代謝が多くなる、多食、体重減少、イライラ…などのアドレナリンが全開になっているような症状が出ます。原因として最も多いのがバセドウ病で、甲状腺刺激ホルモン受容体への抗体による自己免疫疾患による。治療は投薬による甲状腺刺激ホルモンの抑制を行い、続いて外科的手術・放射線治療が行われる。蛋白も漏れなく分解が促進されるため、血中の蛋白量が低下し、アルブミンが低値を示す。

4.水分量の変化

アルブミンの数値は血管内の水分量によって変化します。水分が減れば相対的にアルブミンが多くなるので、アルブミン値は高くなります。一方、水分が増えれば相対的にアルブミンが少なくなるので、アルブミン値が低くなります。そこで脱水などの水分が通常でない場合には注意が必要です。脱水が改善された瞬間にアルブミン値が低くなる!という事もあり得る事です。

おわりに

「栄養=アルブミン」というのは少し盲目的です。他の要素も影響してないかな?と疑いながら総合的に判断することで、正しく栄養状態を把握することが出来ます。そのために身体計測などの指標があります。有意義にアルブミン値を使うためにも、是非とも正しい知識を入れておきましょう。

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