認知症におけるBPSDって何?症状・原因・対策を解説!

スポンサーリンク

認知症について勉強していると必ず聞く言葉が「BPSD」です。

  • 認知症は治らないけど、BPSDは改善可能だ!
  • レクリエーション活動によって、BPSDを軽減できる!
  • BPSDは環境によって生じ方が違う…?

こんな言葉が医療や介護の現場で行われていることもあるでしょう。セラピストも認知症患者と関わる事は少なくありません、BPSDも知っておくべき必須の知識です。

この記事では、BPSDの概要と対処法について紹介します。

BPSDとは

:Behavioral and psychological symptoms of dementia(認知症の行動と心理症状)

BPSDを知る前に、認知症の二つの症状を知っておきましょう。

  • 中核症状:認知症による直接的な症状
  • 周辺症状:認知症による二次的な症状

中核症状とは、認知症になった人には基本的にみんな生じるものとされていて、下記のような症状がみられます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 遂行機能障害
  • 理解・判断力障害
  • 失行・失語・失認

一方、周辺症状とは、環境・対人交流・性格によって生じ方が異なるとされていて、人によって出るor出ない、弱いor強いなどが異なるとされています。この周辺症状の事を「BPSD」と呼ぶことになっています。なので「BPSD」と呼んでも「周辺症状」と呼んでも、どちらでもかまいません。下記のような症状が例としてみられます。

  • 夜間不眠
  • 夕暮れ症候群
  • 物盗られ妄想・被害妄想
  • 過食
  • 不潔行動

BPSDは人によって大きな違いがあるため、もちろん上記は一例になります。

具体的な内容を見ていきましょう。

BPSDの症状と対応

夜間不眠

症状

夜になると認知症症状が現れる

日中は普通なのに、夜になると認知症症状が強く表れる人がいます。一例は次のようなものです。

  • 声をあげる名前を執拗に呼ぶ
  • 暴れる
  • 暴言を吐く
  • 全然眠れない
  • 恐怖心や落ち着かなくなる

日中は穏やかなのに…と言われてしまう患者さんは、多くは夜間不眠とよばれるBPSDと考える事が出来るでしょう。夜には強い睡眠薬や認知症薬を投与されている方も少なくないですし、身体拘束を行っている場合もあります。

原因と対策

原因の一つとして、見当識障害が関わっている事があります。

見当識障害とは、今の月日・季節・場所・周囲の人間などの状況確認する能力が低下する事です。

  • 部屋が暗い
  • 周囲に人がいない
  • 周りが見慣れない風景

夜中の病院・施設という環境は上記のような環境です。

こうなると、見当識障害がある人にとって下記のように、パニックや恐怖心に繋がってしまうものなのです。

  • 「あれ?ここはどこだ?」
  • 「一体どういう状況だ?」
  • 「知らない所に来てしまった!」

そこで、まずは症状が出ている時には本人がどのように感じているかを読み取り、対応することが必要です。

  • 暗さが原因?
  • 人がいない事が原因?
  • 静かさが原因?
  • 家具や写真を置けば安心するかな?
  • 電気はつけっぱなしにしておこう
  • テレビは小さな音で流しておこう
  • 安心するまで近くに居ておこう

上記のような対応によって安心する人もいます。

BPSDの全てに関連する事ですが、その人の症状が出てしまう原因を考えながら対応することが必要です。

夕暮れ症候群

症状

夕方になると落ち着かなくなり、帰ろうとする

夜間不眠と少し似ているかもしれませんが、夕暮れ症候群では夕方になるとそわそわして、「家に帰る!」といきなり言い出したり、荷物を整理し始めたりすることが特徴的です。絶対に夕方なんですよね。人によっては丁寧に「お世話になりました」「ありがとうございます」といった言葉を述べてから帰ろうとする、律儀な方もおられます。

原因と対策

原因の一つに、記憶の逆行性喪失というものが関わっています。これはその人が昔の時代に戻ってしまっている事です。若い頃、仕事をバリバリしていた頃、子育てをしていた頃…など、その人が生きていて楽しかった時代や充実していた時代に戻ることが特徴的です。そのため下記ような理由で帰ろうとしている場合があります。

  • 子どもが家に帰ってくるから、待っていないといけない
  • 仕事が終わって家に帰る時間だから、退社しようとする
  • 友達の家に夕飯時にお邪魔しては迷惑だから、帰ろうとする

私たちの世界に生きていると不思議な事をするものですが、その世界に生きていれば納得の行動をしているものです。そのため、部屋に鍵をかけたり、無下に引き留めたりするのはあまり効果的ではありません。その患者さんが何故帰ろうとしているのかを会話に織り交ぜながら、上手に引き留める事が必要になってきます。

また、人によっては「朝に出て行こうとする」場合があります。これもその人の生活スケジュールに朝の外出が大きく関わっているのでしょうね。

物盗られ妄想・被害妄想

症状

物を盗られた!と訴える

認知症の代表的な症状とも言える物盗られ妄想。誰も盗っていないのに、次のような事を訴えられます。

  • 財布がなくなった!
  • お金が盗られた!
  • 服がなくなった!
  • お菓子がなくなった!
  • あなたが持って行ったんでしょ!

もちろんこのような事実はないので、そもそも持ってきていなかったり、どこかに隠れていてすぐに見つかったり…とするものです。加害者扱いされるので、こちらとしても少し精神的に辛いものがあります。そのため、ついつい「あそこに置いてるでしょ!」「いつもそんなこと言って!」なんて言いたくなってしまいますが、もちろん望ましい対応ではありません。

原因と対策

そもそも物盗られ妄想が生じてしまう原因として、その方の背景が関わっていることがあります。

  • 若い時にお金や食べるものに困っていた
  • 騙されてお金をなくしたことがある
  • 子どもに食事を与えるのに必死だった

これらから、物やお金に対する執着心が強くなり、症状に繋がってしまうのです。

そのため、対策の第一歩として「もしかしてそのような背景があるのかもしれない」と思いながら関わってみることです。先述したように加害者扱いされてしまうことで冷静に対応出来なくなってしまうので、まずは冷静になれるように心がけなければならないからです。

そして、次の一歩としては、患者さんの感情に寄り添いながら一緒に悩み、一緒に探してみる事が必要です。もしあなたが、無くなったものを必死になって探していれば、一緒になって探してもらえる事ほどうれしい事はありませんよね。普通の事ですよ、普通の。

過食

症状

過剰に食べてしまう

食欲がとんでもない人がたまにいますよね。食後なのに「まだ食べてない」「おなか減った」などと、あたかも食べていないかのような発言をする人がいます。それらの発言だけならまだしも「ご飯はまだか!」「昨日も食べさせてもらってない!」と怒ったり悲しんだり他人を責めたりするような事があります。

もちろん「さっき食べたでしょ!」と言いたくなるでしょうが、そんなこと言っても効果はありません。

原因と対策

まず根本的に満腹中枢が満たされにくくなっていることが原因として挙げられます。なかなかおなか一杯で満たされないんですよね、そりゃ食べたくなりますよね。でも、普通ならお腹が減っていても「食べてない!」とはなりません。

ここに記憶障害が関わってくるために、ややこしくなってしまいます。食べたことを忘れてしまうのです。忘れていて、空腹状態であれば余計に「食べてない!」となってしまいますよね。

そこでおすすめなのは、間食することです。間食といってもラーメンなどのハイカロリーなものをドカンと食べるのではなく、昼食を少し減らして、その分を間食とする。といった具合でカロリーコントロールを行いながら調節することが望ましいです。またカロリーの低い紅茶やコーヒーなどの飲み物を使って、満腹感を少しでも満たすことも有効とされています。ついついたくさん食べちゃダメ!と思ってしまうのですが、逆に食べてしまう事も1つの対策ですね。

不潔行動

症状

便を触ってしまう

認知症を有する方で一番困ってしまう事…と言っても過言ではないのが不潔行動です。便を触ってしまう、触った手で服・壁・人に触れてしまう、場合によっては口に運んでしまう…という状態になります。毎日おむつ交換をしている人間であっても、やはり手で触れている状況を見るのはつらいものです。ましてや自分の服にはつけてほしくないものです。

原因と対策

認知症の人はそもそも様々な感覚低下を起こしています。そのためオムツの中が気持ち悪いな~なんだろう?と思ったときに、お尻の感覚では分からないために、手で確認したくなってしまうのです。そして触ってしまった「汚い、臭い」などの感覚を取り除くために周囲につけて、拭こうとしているのです。口に運んでしまう場合には、手で触っても何か分からないために口の感覚を使って把握しようとしているという説があります。分からないから触っちゃう食べちゃうのですね。

最も有効なのは、そもそも不快にならないように適切なタイミングで排泄することです。不快な感覚が見えればトイレ誘導する、自分で訴えれない人には定時誘導するといった方法で、出来るだけ常に快適な環境を提供する事が良いでしょう。また排便コントロールを良くするために食事や運動、入浴といった体内環境・生活リズムを整えるように心がけるのも非常に大切です。

もちろん常にこれらを行うのは難しいですし、介助者がいればいつも完璧な排便コントロールが出来るわけではありません。そのため汚してもいいようにビニールをひいたり、捨ててもいいタオルを用意したりといった対応を行うことも必要です。

おわりに

今回紹介したのはあくまでもBPSDの一部です。他にも様々なBPSDがありますので、その患者さんに生じている症状が中核症状なのか、BPSDなのか調べながら関わっていく必要があります。またBPSDは様々な要因によって生じる=対応は個別性があるので、必ず評価しながら関わっていく必要があります。なかなか難しい部分ではありますが「あの人の時はニコニコしてる、でもこの人の時にはいつも怒っている」というように、認知症の人も分かりやすいサインを出してくれている時があります。必ず心を想像しながら関わっていくようにしましょう。

スポンサーリンク