脳卒中患者の立ち上がり獲得に向けた動作指導、4つの実例を交えて紹介!

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「もう少しで立ち上がりが出来そうなのに…出来ない!」

そんな脳卒中片麻痺の患者さんを担当したことはありませんか?

  • 筋力は今くらいで十分なのに…
  • 臀部離床のタイミングさえつかめれば…
  • 足部の位置さえ間違えなければ…

本当にちょっとのことで立ち上がりが可能となるような場面ってありますよね。

この記事では…

  • 脳卒中患者さんでよく遭遇する”立てない”4つのパターン
  • それぞれの場面における効果的な動作指導方法の例

を紹介します。

もう少しで出来そう…!は、ちょっとした指導で変わることが多いものです。

是非とも役立ててください(*’▽’)

*目次からあなたの興味のある症例を選んで読んでいただくと、スムーズです。

症例1:足部の位置を管理出来ない症例

そんなところに足を置いちゃだめー!

意外にもよく遭遇する、足部の位置を管理出来ない患者さんです。

立ち上がる時には…

  • 足部を引いて
  • ちゃんと足底接地させて
  • 足部に体重をのせて

という作業が必要です。

この時、次のような不適切な足部の管理をしていると、立ち上がりが出来ないばかりか、捻挫や転倒のリスクもあります。

  • 足部を”あえて”遠くに位置させている
  • 足底全体が床に接地していない
  • 内反位になっている
  • つま先立ち状態になっている
  • 足部全体が浮いている

臨床場面においては「足はちゃんと置いてくださいね」と言いながら、療法士が他動的に管理してしまうのではないでしょうか?

足部を管理出来ない患者さんの特徴

このような症例で共通してみられることは

「足部を管理しようとしていない」ということです。

そもそも、私たちが立ち上がる時に、足部の位置を気にしているでしょうか?

「はいはい!いつも足部を見ながら椅子から立っているよ!」

なんて人はいないですよね。

人って無意識に自然と足部の位置を管理しながら生活しているのです。

それが、運動麻痺・感覚障害・高次脳機能障害などによって無意識な管理が出来なくなります。

そのため、脳卒中患者さんでは、積極的に意識することでようやく足部が管理出来るようになります。

何も伝えなければ、管理出来なくて当たり前なのです!

足部の管理を促すポイント

一番大切なことは“足部管理の必要性を感じてもらうこと”です。

そのために、下記のような方法を用いて促しましょう。

  1. 足部管理の必要性を説明する
  2. 足部管理する、しないの違いを感じてもらう
  3. 忘れてしまう患者さんでは、張り紙などをしておく
  4. 毎回丁寧に自己管理してもらう

必要性を説明する事は当然大切です。

しかし説明するだけでは「なるほど~」と思えないのが人間ですから、実感してもらうために”するorしない”を体験してもらいましょう。

それでも忘れてしまうものですから、”張り紙”という古典的な方法も有効です。

そして何より、実際に自己管理してもらうことが日々の生活で実用するための一番重要です。

全て基本的なことですが、抜けてしまいがちです。気を付けてみてみましょう!

症例2:座る位置や環境を調整出来ない症例

どのように座るか、って大切なんだ!

訓練場面では立ち上がり自立レベルなのに、病棟だと介助になっている。

そんな症例って意外といます。

自立どころか「いや、けっこう重たいよ、介助量」と言われてしまうこともあります。

このような時に問題となっているのは“座る位置”“ベッドの環境”です。

座る位置や環境が悪い例

座る位置については次のようなものがあります。

  • 深く腰掛けすぎ
  • 逆に浅く腰掛けすぎ(ベッドや椅子から落ちそう!)
  • 手すりと身体が遠すぎる
  • 逆に手すりと体が近すぎる

療法士であれば、見た瞬間に「この座る位置はダメでしょ!」と思える状態であることが日常的です。

他方、環境については次のようなものがあります。

  • ベッドが高すぎる
  • 逆に低すぎる
  • 足部をギャッジアップしたまま座っている

意外と多いのが、足部をギャッジアップしていることを忘れていることです。

ベッドなので、布団やシーツによって分かりにくいんですよね。

あからさまにギャッジアップしている場合ならまだしも、”気持ちあげてる”くらいならかなり見落としてしまいます。

実際、時々気付かない時があって、車椅子に移乗してから気付くようなケースもあります。

↑こういうのをイメージしてください。

座る位置や環境を管理するポイント

これも症例1と同様のアプローチが大切です。

  1. 座位位置・環境管理の必要性を説明する
  2. 管理する、しないの違いを感じてもらう
  3. 忘れてしまう患者さんでは、張り紙などをしておく
  4. 毎回丁寧に自己管理してもらう

人って目的とする動作に目が行ってしまいがちなので、なかなかその途中には着目出来ません。

  • トイレに行くために
  • リハビリに行くために立つ
  • ご飯を食べるために

このような目的があって、その途中に座位があります。

だから、いちいち座位がどうなってるかを着目しないんですよね。そりゃそうか。

特にトイレは急を要することがほとんどです。さっさとベッドから離れなければなりません。座位に注目している場合ではありません。

上記のアプローチを行うことで「あっ、ほんとだ!大切だ!ちゃんとやろう!」と思ってもらえれば、ほとんど勝ちです。

ちなみに良い座位姿勢を自分自身で作り出すためには、ベッドギャッジを自分で行えることがとても大切です。

意識レベル・認知機能が高い患者さんであれば、運動麻痺や感覚障害が重度であっても、早期からベッドギャッジの指導を行いましょう。

足を下げる、頭をあげる、ベッドの高さを調整する…このような習慣を早くからつけてもらいましょう。

余談ですが、ベッドが操作出来るだけで周辺動作の自立が一気に近づきます。

  • ベッドで本を読める
  • お茶を飲める
  • テレビを見れる
  • 整容が出来る
  • 食事がとれる

これらが出来ると出来ないは大きな違いですね。

症例3:健側下肢ばかりを使ってしまう症例

え、片足じゃ、ダメだったの!?

これも非常によく遭遇する症例です。

運動麻痺が生じると、健側下肢ってやっぱり使いやすいものですから、どんどん使っちゃうのですよね。

その結果、”いわゆる麻痺測下肢”を全然使わないままに立ち上がりを行っている患者さんはけっこーいます。

健常者でいうところの”ケンケンで立つ”というものですから、やっぱり難しいししんどいし、実用性が下がっちゃうのです。

健側下肢ばかりを使う症例の特徴

このような症例さんの特徴は「麻痺側下肢をつかうのが怖くて…」という人がけっこーいます。

言葉にして表現出来る人もいれば、言葉にはならないけど感じている人もいます。

「こっち(麻痺側下肢)をもっと使って立つのは怖いですか?」と聞いてみましょう。

「いや~やっぱり怖いな!」と言葉に出来る人もいます。

言葉にならない人は「怖くないよ( ゚Д゚)」と言いながらも、少し麻痺側に寄るように介助すると「こわいこわい!」と言うような状態です。

「怖さも対したことないし、本当はもう少し麻痺側を使った方が安定するのになぁ~」なら、介入の余地ありです!

麻痺側下肢を使ってもらうためのポイント

麻痺側下肢が使えるようになるには、いくつのかのポイントがあります。

  1. 少し介助して立ち上がりを誘導してみる
  2. 反復して「安全だ!」を認識してもらう
  3. 上手く立ち上がり出来た時の感覚を掴んでもらう

“介助で誘導する”は、口頭だけではなかなかいい感じの立ち上がりが出来ないためです。

だって健側下肢での立ち上がりが習慣化されてしまっているので、頭で分かってても出来ないもんですから。

この時には…

  • 一気に麻痺側に寄せず、段階的に
  • 声かけや手の位置を注意して、恐怖心を生み出さないように
  • 上手くいけたときを徹底的にフィードバックする

が、大切になってきます。

特にポジティブなフィードバックが苦手な療法士は多いですよね。

上手く出来た!と感じてもらうためには声かけは非常に大切なので、常日頃から「よっしゃ!」と思わせる声かけを練習しておきましょう。

そして、“感覚を掴んでもらう”は実際の生活のために一番大切なポイントです。

上手く立ち上がりが出来たときの感覚を聞いてみてください。

  • 麻痺側下肢のつま先に体重が乗った感じがする
  • 麻痺側下肢の太ももに踏ん張った感じがする
  • 健側下肢が力を入れずに立てた感じがする
  • 普段と違う場所を見ながらだと出来た

このような感覚を療法士は聞き逃さず「これだっ!」と使いましょう。

まずはその感覚を基に、立ち上がりを反復してもらいます。

もちろん立ち上がりが上手くなってくるとその感覚も変わってきますので、それに合わせて指導も変更していきます。

  • 「さっきまでは右足の地面を踏む感覚でしたけど、今は太ももに力が入る感じですね!」

このように変化していくものです。

あと、療法士はついつい足の筋感覚や荷重感覚に着目するものです。が、視覚なんかも有効利用しましょう。

  • 「あ、思ったよりも地面を見た方が立ちやすい」
  • 「足と足の間を見るように立てば良いんだ」

このような感覚が得られること多いです。

症例4:麻痺側下肢を使いすぎちゃう症例

力入れすぎー!

症例3とは逆のパターンです。

麻痺側下肢で頑張りすぎちゃう症例さんっていますよね。

頑張るのは大切なんですけど、その結果非効率的な立ち上がりになっていることが少なくありません。

頑張ってるのに非効率的だなんて、これは何とかしておきたい!

麻痺側下肢を使いすぎちゃう症例の特徴

頑張ってると”いわゆるつっぱり感”として、足の底屈が強くなる症例さんが多いですね。

立ち上がり動作は次のような順序で生じます。

  1. 体幹前傾して身体重心を臀部から足部に移動する
  2. 身体重心を上方に移動するために膝伸展などを行う

このとき足部は”底背屈0°→背屈→底背屈0°”と推移します。

しかし、底屈が過度に増強されてしまうと、足部に移動した身体重心が再度臀部に戻ってしまいます。

これにより着座してしまったり、上肢で手すりを引っ張ったり、不安定な中無理矢理立ち上がったり…上手に立てた!とは程遠くなってしまいます。

んん~なんとか底屈を抑えないといけませんね。

麻痺側下肢を適度に使うためのポイント

この症例に対するアプローチは”症例3:健側下肢ばかり使ってしまう症例”と似たような方法が有効です。

なのでその方法は割愛して…口頭指示のポイントを紹介します。

このような症例さんでは…

  • 頑張って立とう!
  • とにかく力を入れないと!
  • 踏ん張らないと立てない!

という思いが強い人が多いです。

つまり“自然と力が入ってしまうのではなく、自分で力をいれてしまっている”場合が多いのです。

なので、声かけも”力を抜けるような方法”を促してみましょう。

  • ふわっと立ってみてください
  • やわらかく立ってみてください
  • 力を入れなくても実は立てるんですよ
  • 力を入れないと立てないと思っていませんか?

声かけによって力を抜くように促してみる事はもちろん、会話することも大切です。

よくよく聞いてみる事で、意識的にめちゃめちゃ力を入れてた!が発見出来ることがあります。

立ち上がりの動作指導のポイント

さて、まとめになります。

ここまでを読んでいただくと「えっ、普通のことだな!」と思うかもしれません。

が、その普通を丁寧にやってみることで上手く進むことがあります。

その原則は次のようなものです。

  1. 望ましい立ち方を理解出来るように説明する
  2. 望ましい立ち方をするorしないの違いを感じてもらう
  3. 毎回丁寧にその方法を行ってもらう

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