高齢者に多発!フレイルの定義・評価・予防の方法を「歩行」に着目して紹介!

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超高齢社会になっていく日本において、介護予防が重要視されています。病気やケガになってから治すのではなく、まずは予防をしましょうね!です。

そんな中【フレイル】という概念が非常に注目されています…が、この言葉をちゃんと知っていますか?リハビリ職としてちゃんと評価・予防活動出来ますか?

むむむ…と思ったあなた!まずはこの記事を読んで、フレイルを知ってみましょう!

フレイルの定義

cocoparisienne / Pixabay

日本の高齢者人口はどんどん増加していっています。2015年の時点で、65歳以上は全人口の25%以上もいます…10年後には全人口の25%以上が75歳以上の後期高齢者になるはずです。

加齢は様々な心身変化を及ぼします…挙げだしたらキリがありません。

  • 転倒
  • ADL低下
  • 要介護
  • 低栄養、肥満
  • 筋力低下
  • 認知症

そこで、介護予防の観点から、日本老年医学会は2014年にフレイルを提唱しました。その定義は次のようなものです。

「高齢期に生理的予備能が低下することで、ストレスに対する脆弱性が亢進して不健康を引き起こしやすい状態」

日本老年医学会

フレイルの特徴的な部分は「身体機能の低下だけではない」という事です。身体機能低下による転倒リスクの増加はもちろんのこと、認知機能低下・うつなどの心理機能低下も含みます。そして、独居・経済的困難といった社会的問題も含みます。

フレイルの評価(判定基準)

MorganK / Pixabay

上述したようにフレイルとは多方面から構成される概念です。

  • 身体的
  • 認知的
  • 社会的

それぞれから評価していく必要があります…が、認知的・社会的フレイルについては定義も評価方法も未だに確立しているものが十分に検討されていないとされています。その点に留意しながらも、それぞれの評価方法を知っておきましょう。

身体的フレイル

・下記5要素のうち

  • 3つ以上が該当:身体的フレイル
  • 1つ以上が該当:身体的プレフレイル
  1. 体重減少:6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少
  2. 筋力低下:握力低下(男性<26kg、女性<18kg)
  3. 疲労:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
  4. 歩行速度の低下:通常歩行速度<1.0m/s
  5. 身体活動の低下:「軽い運動・体操」および「定期的な運動・スポーツ」のいずれもしていない

健常高齢者に比べて身体的フレイル高齢者では、要支援・要介護になりやすいとされています。もちろんプレフレイル状態であっても、リスクは増大するとされています。

認知的フレイル

認知的フレイルについては、今のところ「これ!」という診断基準がありません…今後の報告を待ちましょう!

社会的フレイル

認知的フレイルと同様に、まだ「これ!」という診断基準がありません。牧迫の論文では、下記のように定義する事を示唆しています。

・下記5要素のうち

  • 2つ以上が該当:社会的フレイル
  • 1つ以上が該当:社会的プレフレイル
  1. 独居である:はい
  2. 昨年に比べて外出する頻度が減っている:はい
  3. 友人の家を訪ねている:いいえ
  4. 家族や友人の役に立っていると思う:いいえ
  5. 誰かと毎日会話をしている:いいえ

この定義について、2年以内の新規の要支援・要介護発生の関連を調べた結果が下記です。

  1. 社会的フレイルと評価された高齢者は、健常高齢者の1.7倍
  2. 社会的プレフレイルと評価された高齢者は、健常高齢者の1.5倍

フレイル評価の実際:歩行に着目して

blickpixel / Pixabay

フレイルの定義から分かるのは、身体的フレイルについてはよく研究されている・よく考えられているんだな!ということです。そのため、予防についても身体的フレイルについて述べられているものがほとんどです。

  1. 体重減少
  2. 筋力低下
  3. 疲労
  4. 歩行速度の低下
  5. 身体活動の低下

身体的フレイルにおいて重要なのは、この中でも歩行です。握力が低下しても転倒しやすくなる…ことはありませんが、歩行能力が低下すると転倒に至ってしまいます。転倒すると活動範囲が減ってしまいますし、動けないので体力が低下して…と多くの悪影響を及ぼすことが考えられます。

加齢と歩行速度の低下

歩行速度とフレイルってどういう関係やねん?と思うかもしれませんが、疫学的研究では、歩行速度がいくつかの健康予測因子であるとされています。

  • 65歳以上
  • 分速74m/m(1.23m/s)以上
  • 死亡、運動器障害などのリスクが有意に低下

加齢に伴って歩行速度が低下することは経験的にもよく分かります。めっちゃ早歩きのおじいさん・おばあさんって元気な人でもなかなかに見かけないですものね。

歩行速度の測定方法・カットオフ値

さて、理学療法評価をする際には、客観的な数値にすることが望ましいです。

測定方法・カットオフ値は下表を参考にしてください。

測定方法 1)前後に予備路3mずつ+測定区間5mの計11mの直線距離をいつもの歩行ペースで歩いてもらう

2)測定区間5mを通過するのに要した時間をストップウォッチで計測する

注意点 1)対象者への指示は「いつも歩いているように歩いてください」に統一する

2)予備路を必ず設ける

3)記録単位は秒

4)速度に変換した値を計算し、記録する

カットオフ値 1.0m/s

理学療法2016 vol.33 No.12 加齢による歩行機能の低下/  宮地元彦 1067-1072より

フレイル予防の実際:歩行に着目して

 

ijmaki / Pixabay

歩行を改善させたいのならば、歩こう!ということで、最近はウォーキングに注目が集まっています。しかし、ただ歩くだけでは理学療法の知識や技術を使う事はありませんので、理学療法らしくウォーキング指導をしましょう!

フレイルでは、歩行速度が大切と先述しましたが「速く歩きましょう!」と言ったところで難しいものです。速く歩けない原因を探して改善させるのが理学療法士ってもんです!速く歩けない原因として、下記のものが生じてしまいます。

  • 歩行速度低下
  • 歩隔増大
  • ケイデンス低下
  • 歩幅減少
  • 両脚支持期の増大
  • 遊脚期の短縮
  • 接地期における足関節背屈低下
  • 蹴りだし期における足関節底屈低下・股関節伸展角度低下
  • 上肢振り減少
  • 体幹回旋減少

これって、めっちゃ理学療法士の得意とするところやん!

歩行そのものを評価して、意識して治るところは治してもらって、意識しても治らないことは機能訓練によってアプローチ出来ますよね。

さて、では歩行パフォーマンス以外にはどのような部分に着目していけば良いのかも考えていきましょう。

歩行強度の設定

望ましい歩行強度は下記とされています。

  • 3メッツ程度

とはいえ、健常高齢者であっても人によっては3メッツがなかなかにしんどい人もいます。また、これがプレフレイル…ましてやフレイル高齢者になると、望ましい運動強度です!といったところで、そこまでなかなかに到達することは出来ません。

そこで考えておきたいことが2つあります。

  • 段階的に負荷量を上げること
  • モチベーションを維持出来ること

段階的に負荷量を設定することについては下記の報告がなされています。

  • 4週間毎に10%ずつ段階的に歩数を増させることで、12週間の介入で1日あたりの歩数が23%増加
  • 24週間の介入で1日当たりの歩数が83%増加

もちろん、全ての人に同じように段階を上げることは難しいですが「基本的には10%ずつ」と、指標をもっておくとよいですね!

おわりに

ulleo / Pixabay

まだまだフレイルについては、日本で認知され始めた概念です。

そのため基礎的研究も少なく、エビデンス構築も十分にされていない状態です。

でもね、実際のフレイル予防で高齢者に関わる時には、私たち理学療法士が臨床で行っている「普通のスキル」を発揮することで効果的な気がしています。まずはフレイルの観点をもちながら患者さん(高齢者)と関わって、理学療法スキルが役立つのか試してみましょう!

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