理学・作業療法士が評価で目標設定を行えないとすごく困る2つの理由

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理学・作業療法を進めるにあたって大切な思考過程に「目標設定」というものがあります。ゴール設定ともよばれていますね。

症例検討をしていると、次のようなツッコミが入る場合も少なくありません。

  • ゴールは何?
  • ゴールが明確になってない!
  • ゴールはとりあえず決めておこうよ…

でもね、そもそも何でゴール設定が必要なのでしょう?

この記事では、理学・作業療法士にとってゴール設定の考え方と出来ないと困る2つの理由を考えていきます。

ゴール設定とは

どのような状態に、いつごろ達成するのか

平たく説明するとこのようなことを考えることです。例えば次のような考えが、ゴール設定です。

  • 一ヶ月後に移乗自立する
  • 一ヶ月後に院内生活自立する
  • 三ヶ月後に歩行器歩行を獲得する
  • 三ヶ月後に杖歩行exを開始する
  • 一ヶ月後に肩の疼痛を半分まで減らす
  • 三ヶ月後に下肢筋力をMMT5まで上げる
  • 3wで膝屈曲120°を達成する
  • 5分で痛みを軽減する
  • 5分で可動域を120°までもっていく
  • 来月末には手すりを設置して自宅での歩行練習を開始する

筆者は理学療法士なので上記のようなものがパッと思い浮かびますが、作業療法士であれば作業活動や精神状態に関する内容が挙がってくるでしょう。動作レベルでも構いませんし、機能レベルでも構いません。もちろん環境設定を行うことや社会参加することでも構いません。

とにかく、大切なのは「時期と内容を明確に決める」ことです。

  • 退院までには痛みがとれたらなぁ
  • 歩行練習が出来ればいいかなぁ
  • 膝は生活に困らないくらいでいいかなぁ
  • 家屋改修すれば何とかなりそう
  • 将来は復職できるんじゃないかなぁ

このような「何をもって達成と言えるの?」という設定の仕方は絶対にいけません!

〇か✕か、はっきりと分かるように設定しましょう。

ゴール設定の出し方

評価と経過から考えよう!

もちろん「何となく考えました~!」ではいけません。

理学・作業療法評価から導き出しましょう。

  • 画像・検査データから得られる医学的情報
  • 家族・家屋などの社会的情報の収集
  • ドクターやナースなどの他部門情報
  • あなたが行う検査測定

これらの情報によって初期評価を行い「ひとまずのゴール設定」を行います。

ここに経過情報を加えていきましょう。

  • おっ、思ったよりいい感じだぞ!期間を早めよう!
  • ん~なんか遅いな、期間をずらそう…
  • あれ、何だか全然違う、もう一度最初から評価してみよう!

あなたが思ったように進まないのが臨床です、患者さんの状態を見ながら、ゴール設定も適宜変更していきます。これが再評価と再ゴール設定です。

さてさて、このようにゴール設定を行っていくのですが、何故正しく行えないと困ってしまうのでしょうか?

困る理由①:あなたが成長出来ない

合ってるか合ってないか分からない

あなたの治療や介入が上手くいったのか、そうでなかったかを確認するには、事後に〇✕をはっきりさせておく必要があります。〇✕をはっきりさせるためには、自分なりの正解(=ゴール)が必要になってきますので、ゴール設定をしていないと話にならないのです。

  • いや~なんかうまくいったよね
  • 結果的に大丈夫だったね
  • 何だか知らない内に痛みがとれたね

とか言っているうちは、絶対にゴール設定が行えていない証拠です。

もしあなたがしっかりとゴール設定出来ていて、事後に〇✕をつけれていれば、次のようになります。

  • 〇:予定通りに痛みが引いた!
  • 〇:予定通りに自宅で生活出来た!
  • 〇:予定通りに歩けるようになった!
  • ✕:痛みが引かなかった、次はこれを評価しよう
  • ✕:痛みが引かなかった、次はこれを治療してみよう
  • ✕:自宅復帰に困った、想定してなかった段差が問題だった
  • ✕:期間までに歩けなかった、筋力の向上が想定通りに得られなかったからだ

このように、治療や介入が上手くいかなくっても、その理由を探す方向に思考が向かっていきます。ゴール設定をしっかりと行ったセラピストだけがこのように発展的な思考に移行することが出来ます。必ず逃さないようにしましょう。〇✕がつけれないのに成長出来るわけないですもんね。

ちなみに疑似相関というものも考えておきたいので、こちらの記事も読んでみてください。

症例検討するときに気をつけたい疑似相関を知っておこう!

2017.03.08

困る理由②:患者さんが不利益を被る

あなたが成長しなくても、患者さんに迷惑がかからなければ良いと思うのです。

でもね、成長しないセラピストが担当する患者さんには迷惑がかかるもんです。

さて、どんな風に不利益が出るかを考えてみましょう。

例:回復期病棟に入院する患者さん

  • 目標:自宅では歩いて生活する
  • 実際:歩行自立出来なかった
  • 不利益:車椅子生活をどう送っていいか分からない!

回復期病棟では移動自立が目標となる患者さんが多く、歩行訓練場面がよく見られます。しかし、期限になっても歩けない!となると、車椅子生活をせざる得ません。車椅子駆動、車椅子介助での段差乗り換え、車椅子上でのADL動作、狭い廊下での旋回…これらを指導されていない患者さんがたくさんいるものです。

もし目標設定で「歩行自立難しいから、車椅子自立にしよう」と切り替えれていれば、車椅子生活にスムーズに移行することが出来たでしょう。まずは安全な生活を獲得することが大切ですから、歩行訓練は退院後の課題として残した方が良いのかもしれませんね。

おわりに

毎日ルーティーンで理学・作業療法を展開していると、ついつい目標設定について振り返ることが少なくなってしまうものです。学生さんや後輩に指導する時には覚えているのに、いざ自分の患者さんとなると頭から離れてしまいます。常に目標を意識し続けて、治療・介入を進めていきましょう。

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