職場の医療接遇・コミュニケーションは研修では改善しない!?

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あなたの職場では、接遇・コミュニケーション研修が行われたことがありますか?

病院などでは、接遇のプロ講師を招いた研修、書籍・外部セミナーでの学びの伝達…様々な形で研修が行われています。接遇についてを年に一回、定期的に取り組んでいる職場も少なくありません。

しかし、どうでしょう。研修後に職員は変化しているでしょうか?

言葉遣いの悪い療法士はそのままベテランになってしまうし、そんな先輩に教育された後輩はやっぱり言葉遣いが悪くなっている。そんな状況になっていないでしょうか?

実は、職場での医療接遇・コミュニケーションを改善させるためには、研修だけを企画しても難しいのです…。この記事ではその理由と行うべき具体的指導方法について考えていきます。

これまでの接遇・コミュニケーション研修

ejlindstrom / Pixabay

多くの職場で行われている医療接遇・コミュニケーション研修では、下記のような内容を聴くのではないでしょうか。

  • 言葉遣いは敬語で正しく使いましょう
  • 服装や髪型は清潔感を与えるようにケアしましょう
  • アイコンタクトを行う事で信頼関係を構築できます
  • スタッフ同士の雑談は患者さんに聞こえないようにしましょう

このような内容は何度も聞いたことのあるものですが、実は何回聞いても勉強になるものです。敬語の使い方なんて日常的に勉強する機会はないものですから「ほぉ、そうだったのか!」と思うくらいです。ちゃんと勉強しろよ!といつも自戒します。

だから、聴きなれた研修でも、本当はすっごい意味のあるものなんです。

でも、参加するスタッフの気持ちとはどんなものでしょう。

  • 「はぁ…研修…後ろの方で寝ようか」と、寝る気満々のスタッフ
  • 「別の勉強会の資料持って行って、こっそり見よう」と、聴く気のないスタッフ
  • 「途中で抜けて、参加したハンコだけ押しておこう」と、初めから抜ける気満々のスタッフ

こんな場合が少なくありません。特に、強制参加となっている場合には多いものです。

ん~その気持ちは分かるし、仕方ないよね!と言いたくなりますが、それではいつまで経っても現場の接遇・コミュニケーションは改善しません。では、どのように研修を行っていけば良いでしょうか?

スタッフの気持ちを考えてみる

まずは嫌々参加するスタッフの気持ちを考えてみましょう。

色々な気持ちから嫌々参加するものです、これを知らねば実りある研修は企画できません!

接遇・コミュニケーションが出来ていると思っているスタッフ

katyandgeorge / Pixabay

上の画像のように「私、接遇なんて出来てるから学ばなくていいわ!」と髪を振りかざすパターンのスタッフです。実際に髪を振りかざしている人は見たことありません。

医療・福祉領域における接遇・コミュニケーションとは緩いものですから、

  • タメ語OK!
  • 茶髪OK!
  • サンダル出勤OK!

みたいな風潮の職場をそこそこ見かけます。そんな職場で働いていると「私、接遇とかコミュニケーション出来てるし~!」と自信満々になってしまうものです。逆に問題意識を持つスタッフが生まれてきたら、奇跡です。

そんなスタッフが接遇研修を受けたところで、やる気満々になってくれるわけがありません。

免許持ちの理学療法士が、再度国家試験の勉強をしているような感覚です。勉強するわけありません!

出来てないと分かってても改善させる気持ちになれないスタッフ

Free-Photos / Pixabay

接遇やコミュニケーションって、そこまで気を付けなくてもそれなりの仕事が出来てしまうわけです。

  • 患者さんからのクレームで減給される
  • タメ語を使ってると上司に説教される
  • 茶髪や金髪という理由で患者さんから拒否される

こんなことにはならないので、仕事にそこまで注意を払う必要はありません。その結果「まー接遇そんなに出来てないけど、わざわざ研鑽しなくて良いよねぇ~」という気持ちになってしまいます。

こうなると一生懸命に研修を受ける気持ちになれないので、寝ちゃったり、別の勉強をしたりするのはしょうがないです。やる気満々になってくれるわけがありません。

例えるなら、理学療法士として働くのに動物飼育の勉強をするようなものです。知ってると得しそうだけど、まぁいいよね!くらいの気持ちです。

必要だと分かってるけど他に優先したいことがあるスタッフ

jeffjuit / Pixabay

理学療法士が研鑽すべき知識・技術はたくさんありますから、その結果として接遇・コミュニケーションは優先順位は下がってしまうものです。

  • いや~接遇大切だけど、歩行におけるハンドリングを学びたい!
  • 確かにコミュニケーション大事だけど、脳画像の診方知りたい!
  • いやいや、まずは解剖学・運動学を基本として押さえようよ!

そうなんですよ、接遇やコミュニケーションってすっごい優先順位を下に置いているスタッフが多いのです。「大事だけど、今はいいよね~」という状態です。

こんなスタッフが研修を受けても「他の資料読んでおこう!」となるか、「ためになった!けど、臨床ではまぁ、今は意識しなくていいかな」と実践まで至ることがありません。…良い例えが思い浮かばないので、たとえ話はパスします。

研修なんてどうでもいい!早く帰りたい!というスタッフ

Huskyherz / Pixabay

世の中には勉強熱心な人ばかりではありません

  • 早く家に帰りたい
  • 勉強するより遊びたい
  • 仕事なんて適当にやっておいたらよいだろ
  • 仕事に熱意を入れるべきではない

様々な考え方の人がいて、職員としてのスキルを高めることに積極的になれない人がたくさんいます。特に、大きな職場で勤めていると、本当にこういう人が多いものです。

そんな人たちと協力なんてしても無駄だ!なんて言いたくなる気持ちも分かりますが、みんなが協力しないと患者さんや家族さんに良い医療やサービスを届けることは出来ません。やる気がなくても巻き込まなければいけない…これは非常に難しいですが、一番大切な課題です。

効果的な研修を行うためのヒント

さて、このように様々な理由で研修を積極的に受けることが出来ないスタッフがいます。

従来の接遇・コミュニケーション研修とは、一方的に必要な知識や技術を伝えるものがほとんどです。そんな研修では上記のような心に火のついていないスタッフの行動を変えることは困難になります。

そこで、効果的な研修にするために必要なポイントを考えていきます。

研修を受けるメリットをはっきりとさせる

PGloutnay / Pixabay

当然のことですが、研修にどんなメリットがあるか理解しておかなければ受けてみようと思いません。

  • 患者満足度が高まる
  • 医療・福祉サービスとしては当然の振る舞いである
  • 接遇・コミュニケーションスキルはスタッフの質を示している

とかね、こんな漠然としたことは分かっているのです。もっと現場に即したデータをはっきりと提示した方が良いのではないでしょうか?

  • 当院では「医療接遇が悪い」と感じている外来患者が43%いることがアンケートにより明らかになりました
  • 入院患者の23%が「リハビリスタッフに言いたい事を言えない」と感じていることが明らかとなりました
  • 当院整形病棟では「接遇が良い:80%」、内科病棟では「接遇が良い:66%」と患者のアンケートから明らかになっています

と、こんな風に言われたらどうでしょう(あくまでも思い付きデータです)?

「うわぁやばい…こりゃ一生懸命取り組んだ方がいいな…」なんて少しは思えないでしょうか?

出来るだけ現場に即したデータを提示して、改善する理由を明確にさせる必要がありますよね。生生しさ、めっちゃ大事です。

接遇・コミュニケーションが変化した結果を見せる

geralt / Pixabay

とりわけベテランスタッフ・管理者スタッフが注意したいことです。

接遇・コミュニケーションを高めることによる圧倒的な差を、下となる人間に見せつけてやってほしいのです

  • 拒否のある患者さんなのに、あの人のときだけはスムーズに会話が出来てる…
  • さっきまでイライラしてた患者さんが、笑顔になってリハビリしている
  • 他職種との連携がスムーズで退院支援がベストで行えてる
  • トラブルをいつも穏便に解決している

接遇やコミュニケーションが役立つ場面とはたくさんあるのですが、学んでも現場が変わらなければ意味ありません。なので、上に立つ人たちは是非ともその実力を持って、必要性を指し示してやってください。もうほんと、これほど説得力のあるものはありません。圧倒的です。

ごちゃごちゃ理論ばっかり言ってても、何も出来なかったらダサいですよね。そんな人の話、誰が聞くのですか。まず、結果出す!これです!

そして、そんな出来てるスタッフが研修の司会をしたり、研修の冒頭で必要性を示したりしましょう。

「あなたの言うことだったら、聴いてもよいかな!」…そんな研修会への動機付けを高めてみましょう!

スタッフが出来ていない点を明確にする

john-i / Pixabay

研修会では接遇・コミュニケーションの基礎を広く話すことがほとんどです。

しかし、現場のスタッフに必要なのは「その人が苦手な部分を伸ばす事」にあります。となると、個々人で着目すべき研修のポイントは違ってくるはずです。

上記で述べたように、圧倒的に接遇・コミュニケーション力が高いスタッフが、研修で聴くポイントを示しておくことが効果的です。

  • 言葉遣いが苦手だから、そこだけ注意して聞いていてね!
  • 表情を作ることが苦手だから、講師の表情に注意してみて!
  • 会話の間が上手になるためには、講師から盗むのが手っ取り早いからね!
  • 講師の身なりに着目してて、めちゃピシッとしてるから!

そのように個々人に必要な内容を示して、そこに注意して研修を受けるように促してみましょう。だいたいね、研修で全部を網羅するなんて無理なんですよ。範囲が広すぎるし、情報量が多すぎるから。講師の先生も何年も専門でやっていって、ようやくマスターしてるもの。それを1時間や2時間でマスターしようなんて無理です!

ちなみに、アドバイスするときには上記2つの言い方はあまりよくありません。医療・福祉スタッフは「自分の接遇・コミュニケーションが出来てると思いがち」なものですから、「あなたは出来てない」というような注意の促し方には「はぁ?」という気持ちになってしまうものだからです。

なので下記2つの言い方のようにしましょう。

  • 〇〇出来たら、もっとあなたの接遇良くなるよ!
  • 〇〇に注意しておいて、すっごいレベル高いから!

みたいな具合でポジティブに言うと、人間良い感じがして聞いてくれるものです。

スタッフの目標を明確にさせる

Wokandapix / Pixabay

どんな研修を受ける際にも共通していることですが、受講した後にどんな姿になっているのかイメージすることが非常に重要です。だって、それを意識してなかったら、注意して話を聴かないものですからね。

  • 受講後には敬語を正しく使って患者さんと会話できる
  • 受講後には笑顔を意識的にでも作れるようになっている
  • 受講後には後輩に敬語を指導出来るようになっている

上述したように、個々人が苦手と感じているものの良くなった状態をイメージすることが良いでしょう。

もちろん研修によって一気に上手になるわけではないですから、常日頃から意識して改善させていく必要があります。そのためにも改善させるべきポイントは出来るだけ絞って、意識していく必要があります。

「なんだよ~結局ちょっとしか改善出来ないじゃん」と思うかもしれませんが、まったくもってその通りです。

研修ではちょっとしか改善しません!ちょっとでも改善出来ればすごい良いです!

ウザくなってきましたが、だから、目標を明確にね!

研修以外の効果的な指導方法ってあるの?

skeeze / Pixabay

もうね、結局指導する時は上の画像くらい本気出して教えなきゃダメなんですよ!………すいません、嘘です。

ここまでを読んで思うかもしれませんが、研修と言う方法が必ずしも効果的な指導方法ではないのですよ。

結局、個別性を重視しながら指導していく必要がありますので、実際の現場で指導していくことが最も効果的です。

  • 現場での必要性を分かりやすく伝える
  • 現場でのメリットを伝える
  • 苦手なポイントをはっきりさせる
  • 目標となるポイントをはっきりさせる

これら同時に行うには現場で個別指導するのがてっとり早くて、一番伝わりやすいですものね。

接遇やコミュニケーションを指導されるのってすごく精神的にしんどいものですから、嫌がられることも多いですが、それでも一番効果的です。

とんでもない名著です。是非とも一度は読んでおきましょう!

おわりに

1820796 / Pixabay

現場での接遇やコミュニケーションってついつい現場の雰囲気に流されてしまいがちです。

  • 丁寧な言葉遣いだった人がどんどん崩れていく
  • 優しかった振る舞いがきつくなっていく

こんなスタッフを見ることが少なくありません。対人サービスなのに…切ないです。

となると、逆に考えるとこれらを極めているだけでちょっと他のスタッフとは差を付けれるというものです。

だんだん病院ですら選ばれる時代になってきています。接遇やコミュニケーションが高い水準で行えると、それだけでかなりの武器になるのではないでしょうか?

ある意味、チャンスですよ!

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