患者さんの行動からリハビリ意欲・やる気を評価する方法

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患者さんのリハビリ意欲は非常に重要なものであるが、評価方法に迷うことが多い。

いくつかの評価スケールがあるものの、目の前の患者さんに適応することが難しいことも多く「これではなんかしっくりこないよね…」ということがある。

そこでこの記事では、「リハビリ意欲があるときの患者さんの行動」を明らかとしている論文を紹介する。是非とも、患者さんの行動からリハビリ意欲を見れるようになって欲しい。

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論文:患者のリハビリテーション意欲をどう評価するか:-リハビリテーション意欲の他者評価,セラピストの視点から-

岩瀬 弘明, 村田 伸, 中﨑 千秋, 石川 晴美, 藤田 美和子, 田守 康彦, 中井 啓太, 窓場 勝之

要旨

本研究の目的は,患者にリハビリテーション意欲があると感じる行動を明らかにすることである。

調査対象は理学療法士113名,作業療法士61名,言語聴覚士16名の計190名であり,第1次調査では,自由記述式のアンケート調査を行い,患者にリハビリテーション意欲があると感じる行動を明らかにした。第2次調査では,1次調査で得られたリハビリテーション意欲があると感じる行動の重要度を明らかにした。

その結果,重要度が高かった項目は,患者の能動性やリハビリテーションに取り組む態度に関する項目であった。一方,下位項目は患者の自暴自棄な発言に関する項目や患者の否定的な言動に関する項目であった。

これらの知見から,セラピストは患者の能動性やリハビリテーションに取り組む態度を患者の意欲として重要視している一方で,患者の自暴自棄な発言や患者の否定的な言動はリハビリテーション意欲として評価されにくいことが示唆された。

j-stageより

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いつもの通り、この論文もj-stageから全文読める。あなたが感じる「この患者さんリハビリに対してやる気あるな!」と思う項目とマッチしているかを考えながら読んでみて欲しい。

さて、要旨だけでは分からない結果について述べていく。

この論文では、抽出された行動に対して「とてもそう思う」から「まったく思わない」から点数化している。ここでは上位項目と下位項目を紹介する。

上位項目

  • 「自分から積極的に 自主トレーニングをしている」(1位:2537点)
  • 「自 主トレーニングの要望がある」(2位:2489点)
  • 「自主トレーニング方法について質問される」」(3位:2453点)
  • 「リハビリテーショ ンを一生懸命に行う」(4位:2421点)
  • 「リハビリ テーションで指導されたことを病棟で行っている」 (5位:2332点)
  • 「集中して取り組んでいる」(7 位:2279点)
  • 「生き生きとリハビリテーションに取り組んでいる」(8位:2258点)

論文ではこれらの項目に着目し、下記の2点が重要であることを示唆している。

  1. 積極性を持ってリハビリテーションに取り組む意識や姿勢
  2. 実際にリハビリテーションに取り組んでいる際の動作や表情

確かに実際にやる気満々であっても、行動をしていなければ意味がない。

「リハビリ大好きなんです、めちゃめちゃしんどいですけど、体が良くなっていきますし、頑張りたいです!」と言いながら、自主練もせず、訓練時間内にはお喋りしていたら「この人やる気ないな…」と思ってしまうものだ。

どうやら私たち療法士は実際の行動を重視してリハビリ意欲を評価しているらしい。

下位項目

下位項目とは「このような行動をとっていても、やる気があるとは少ししか感じない」という項目である。やる気がないとみなす行動ではないことを注意して欲しい。

  • 「もうこのままでいいと言わない」(51位:1474点)
  • 「良くならなくてもいいと言わない」(51位:1474 点)
  • 「もう死んでもいいと言わない」(56位:1374 点)
  • 「あくびをしない」(66位:1189)
  • 「眠気を訴えない」(66 位:1189)
  • 「疲れたと言わない」(68位:1 179)

これらから、下記2点が重要であることを示唆している。

  1. 自暴自棄な発言
  2. ネガティブな言動、行動

実感としてはこれまで意欲が低かった患者さんが、上記のような行動が見られるようになると「おっ、意欲的になってきたな」と感じる場合が多い。下位項目で意欲を感じる患者さんは、元々の意欲が低い患者さんに該当するのではないだろうか。

リハビリ意欲をどう理学療法に活かすか

患者さんに「自主トレしないと退院させません!」と無理やりに自主トレさせたところで、意欲が高まっているとは思わないだろう。自然に、気付いたら…患者さんが自主トレしていた!という状況になってくれるのが一番うれしい。(もちろん、そこまでに上手に促す必要がある…意欲を高めて自主トレを促す方法は、コミュニケーションなどをまた別に考える必要がある。)

私は、患者さんの意欲を評価することは理学療法評価の1つであると考えている。

  • 意欲が高ければ自主トレする…回復に影響する
  • 意欲が低ければ自主トレしない…回復に影響する

このような状況に陥るためだ。回復する因子に関わるということは、評価項目に入れておかなければ目標設定や治療プログラム立案に影響が出るだろう。

今回の論文では、日々の取り組みや発言から患者の意欲を評価出来ることが示唆されている。となると、意欲の評価というのは初期評価ではなかなか行いにくく、中間評価時にようやく妥当性の高いものが可能となると考えられる。

是非とも、患者さんの意欲を評価し、適切な理学療法評価が出来るようになって欲しい。

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