理学療法士が「リハビリ拒否する患者さん」を担当する時の対応と心構え

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リハビリ拒否する患者さんを担当したことはありますか?

  • しんどいからリハビリしたくない
  • リハビリしたって意味がない

こんな理由からリハビリ拒否する患者さんと関わる事があります。

でも、療法士はそんな中でも何とかリハビリしてもらわないといけない…。

この記事では、拒否する患者さんへの対応で心がけたいことを紹介します。

患者さんはそもそも「リハビリしたくない・やりたくない」

geralt / Pixabay

療法士は患者さんがリハビリに取り組むことを当然と考えているトコロがあります。

いやいやいや、ちょっと待って!

ということは、患者さんは「リハビリしたい!」と思ってる…なんて考えていませんか?

ちょっと思考を変えてみましょう。

あなたがちょっと太って「痩せないとな」と考えているとしましょう。頑張ってダイエットに取り組みますか?

……出来れば頑張らずに痩せたいと、まず思ってしまいますよね?すぐには取り組まないですよね?

  • 「出来れば努力せずに、痩せたいな」
  • 「おいしいものは食べるけど、痩せたいな」
  • 「運動はしたくないけど、痩せたいな」

こう思うはずです。

では、戻って患者さんの気持ちになってみましょう。

身体が良くなって、動けるようになって、元の生活に戻りたい…けど、出来ればリハビリせずに元気になったら嬉しい!と考えている場合も、実はたくさんあるのです。

療法士はそんなとき「いやいや~そんなことないよ!みんなリハビリ大事だと思ってるから!」と思っちゃうものなんです…。…そりゃそうなんですよ!リハビリが大切だと思ってるけど、(リハビリ)頑張らずに良くなりたいもんなんです、実は。

明日患者さんに聞いてみてください。「リハビリせずに良くなるんだったら、リハビリしなくてもいいって思いますか?」と。(聞けないですよね…)

理学・作業療法士の拒否する患者さんへの気持ち

moyegor / Pixabay

リハビリ拒否する患者さんでも、リハビリしてもらわなければなりません。んーこの時の療法士の気持ちとは非常に重たいものです。

  • はぁ…また拒否されるのか
  • 行ってもどうせなぁ…
  • 何とか力技でも連れて行かないとなぁ…
  • 怒って連れて行くぞ!
  • 心を無にしていけば大丈夫だ…!

もうね、むちゃくちゃになっているものです。ハッピーなものではありません。「リハビリしたことに、誰かしてくれないかな…」なんて、わけの分からんことを考えてしまうこともあります。

リハビリ拒否する患者さんへの対応する時の心構え

maxlkt / Pixabay

  • 患者さんはリハビリせずに良くなりたい
  • 拒否する患者さんを連れて行くのはつらい

こんなことを考えていくと、そもそも療法士の考え方を変えていく必要があります。

具体的には「リハビリしてくれてラッキー!」と思って、日々の臨床を行ってみてください。

そう考えると、拒否する患者さんへの気持ちが変わってきます。

  • 拒否するよね、うんうん、そうだよね!
  • え、今日は来てくれるの!ありがとうございます!
  • 自主練なんてしてくれるの!感激で涙が出そう!

こんな風になってきます。少しずつ拒否されても辛くならなくなってきますし、患者さんを迎えに行くのも辛くなくなってきます。

そして、考え方を変えると、患者さんの気持ちが少しずつ分かるようになってきます。

  • 患者さん拒否して嫌だなぁ
  • 何としても連れて行かないとなぁ
  • 心を無にしよう…

こんな療法士の考えから、患者さんの気持ちを想像する療法士になっていきます

  • どうして拒否するのかなぁ
  • 何が嫌なのかなぁ
  • どうしたら来てくれるかなぁ
  • 患者さんの気持ちってどんなのかなぁ

拒否する患者さんへ対応する時に、こんな心構えになっていればかなり良いです!

拒否タイプ別の対応策

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対応するといっても、上図のように気合いをいれて対応するわけではありません(当たり前)。

まずは患者さんへの心構えを少し変えてみて、拒否する理由を考えてみましょう。その上で、拒否する理由から患者さんタイプを見極め、対応策をとっていきましょう。ここでは3つのタイプの対応策を書いていきますね。あくまでも一例で、

リハビリしても意味が無いと思っている患者さん

このような患者さんへの対応では、リハビリする理由を丁寧に伝えましょう

  • 足の筋力をつけることで、歩けるようになります
  • 歩く練習をすれば、買い物にいけるようになります
  • 3週間の筋トレで、歩行可能なレベルまで到達すると考えています
  • 筋トレしなければ、歩けなくなって、自宅にも帰れなくなってしまいます

このような理由を、患者さんに響く方法で伝えましょう。出来るだけポジティブな言い方(~~出来るようになりますよ!)と伝えたいものですが、それでは頑張れない患者さんもいます。どうしても患者さんの心に火をつけたい時にはネガティブな言い方(~~出来なくなってしまいます、ヤバいですよ!)も使ってみましょう。

もちろん「頭では分かってるけど、やる気になれない」なんて場合も少なくありません。

そんな時には、患者さんが実感できるように効果を出しましょう!

  • 歩けなかったのに歩けた!
  • 痛みがとれた!
  • 足が上がるようになった!
  • 肩が動くようになった!

このような経験は患者さんのやる気をぐーーーーーっと高めます、リハビリ頑張ったら良くなるって分かる!とすぐに思えます。

痛みなどの身体的問題からリハビリ拒否する患者さん

心身の不調というものはリハビリ意欲をかなり減退させます。

  • 痛いからリハビリまで気持ちが向かない
  • 熱があって起きる気にもならない
  • ご飯を食べてなくて離床する力もない
  • うつや認知症などが重度でリハビリ出来ない

色々な理由からリハビリ出来ない場合があります。

療法士によって改善出来る問題であれば、積極的に改善に努めましょう。精神的な問題については、話しかけ方などに気を付ければどうにかなる場合もあります。

一方で、療法士によっては改善出来ない問題も少なくありません。ドクターと相談の上、投薬などで改善してもらう。もしくは、リハビリ出来るようになるまで少し待つようにしましょう。

たいした意味もなくリハビリ拒否してくる患者さん

実はけっこう存在しています。

  • 療法士が困るのがおもしろい
  • ただただめんどくさい
  • リハビリするなんて思ってなかったし
  • お腹いっぱいだから
  • リハビリしたら疲れる気がする
  • 運動習慣無いし~

色んな理由をつけて(そんな理由思い浮かばなかった!みたいなものも…)拒否されます。

そんな患者さんには、多少強引にリハビリしてもらうのも効果的です。

「まぁ~いろいろあると思いますけど、一回リハビリやってみましょう!」などと少しうやむやにしながら、誘ってみることです。

次第にリハビリすることが普通になってきて、拒否もなくなってきます。空気を読めない療法士が上手くいく場合というのは、このような時ですね。

「空気が読めない理学療法士」が時折すごく良い理学療法を展開する

2017.06.22

リハビリ担当者の「担当変更」は有効か?

Fifaliana / Pixabay

リハビリ拒否=担当変更…と思考が巡ってくる場合もありますよね。

私は担当変更はアリだと思っています。

担当変更して上手くいけば、患者さんにとっては一番良いと思います。

上手くいった理由がはっきりすれば、次に拒否する患者さんに出会った時に「あの反省を生かして…」と、あなたの経験になるでしょう。また、一度こじれた関係…というだけでうまくいかない場合もあります。

その一方で、安易に担当変更する事はナシだと思っています。

患者さんのためにもならない、療法士も何も学べない…このような場合には安易に変更しないでおきましょう。「誰かのためになる」時にだけ、変更するようにしましょう。

知っておきたい!理学療法で使える特殊技術

このように考えながらも、やっぱり特殊な技術があると安心するものです。

ユマニチュード・バリデーション

どちらも、認知症ケアの技術として提唱されているものです。

私は臨床ではユマニチュードを意識して、認知症患者さんとコミュニケーションをとっています。ユマニチュードは難しい技術ではなく、日常的に誰でも行えるような行為を技術として体系化しているものです。全てをマスターするのは大変ですが、あなたの臨床に一味加えることは間違いありません。

応用行動分析学

応用行動分析学という学問をリハビリに活かすというものです。

聴いた話では「応用行動分析学を使ったら、魚でも学習できる」とか、そうではないとか。

私が以前、理学療法士講習会の応用行動分析学に行った時には、様々な症例が提示されていました。

  • 重度認知症でコミュニケーションがとれないのに、車椅子のブレーキ操作が行えるようになった
  • 自己管理が全然出来ない糖尿病患者さんの、日々の歩行量を増加させた

拒否患者さんだけでなく、効果的なリハビリが行えるようになったという報告がたくさんでした。

応用行動分析学の良いところは「初学者でも臨床応用出来る」ことです。是非とも一度、上記の書籍を手に取ってもらいたいです!

リハビリ拒否患者さんに関する論文(文献)

Pexels / Pixabay

ciniiにて「リハビリ拒否」などと検索してみると、たくさん出てきます。ここでは目についた3つの文献について紹介しますね!

運動療法を拒否していた失語症患者に対する応用行動分析学的介入効果

上村 朋美 , 加藤 宗規 , 山崎 裕司

高知リハビリテーション学院紀要 17, 27-30, 2016-03-31

要旨

理学療法を拒否していた失語症患者に対して入浴を強化刺激とした行動分析学的介入を実施した.

対象は,60歳代男性.左脳梗塞による右片麻痺.失語症のため言語理解・表出は不可能であった.運動療法を開始した翌日から拒否が生じた.そこで,自ら希望していた入浴を理学療法室内の浴室で実施し,これを強化刺激として理学療法参加率の向上を図った.

入浴直後に理学療法を実施することで運動療法に対する拒否はみられなくなった.運動量は徐々に増加し,23病日からは理学療法後に入浴を実施することが可能となった.最終的には,すべての運動療法メニューが実施可能となった.拒否がみられなくなった.39病日からは入浴頻度を隔日に減らすことが可能であった.

理学療法に対する拒否がなくなり,運動療法メニューの増加が可能であったことから今回の介入は有効に機能したものと考えられた.

ciniiより

リハビリ業界の応用行動分析学といえば、山崎裕司先生です。この論文はまさに応用行動分析学の実例と言えるようなものですね。

山崎先生のグループは学会発表レベルでもたくさんの実績があります。応用行動分析学を知りたい場合には、名前から検索してみるのが良いでしょう!

卓球をきっかけに社会参加活動に繋がった脳卒中片麻痺症例-生活期リハビリテーションにおけるPTの役割-

高階 欣晴, 大井 清文

Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集) セッションID: P-TK-04-5

要旨

【はじめに,目的】平成27年度の介護報酬改定により,主に生活期のリハビリテーション(以下,リハと略す)における社会参加に向けた関わりが重視されている。今回我々は,脳梗塞により左片麻痺を呈した症例の回復期リハと生活期の訪問リハに関わり,自宅で閉じこもり気味の生活が,病前行っていた卓球が機転となり,生活範囲の拡大及び社会参加活動の増加に繋がったので報告する。

【方法】症例は50歳代男性,診断は右内包の脳梗塞,障害は左痙性片麻痺,構音障害および注意障害。学歴は,大卒で大学まで卓球の経験あり。仕事は情報管理であったが,約10年前に突発性難聴やクモ膜のう胞の発症を契機に退職。退職後は自室でインターネットなどをして,閉じこもり気味であった。発症17日後の当センター入院時の初期評価は,Brunnstrom stageが上肢III,手指II,下肢IIIで左半身の重度感覚障害あり,Functional Independent Measure(以下,FIM)は運動項目48点,認知項目25点で食事以外は介助を要した。回復期リハ病棟で約4ヶ月間介入し,退院時のBrunnstrom stageはすべてIIIであったが,FIMの運動項目が84点,認知項目は35点となり,階段と入浴以外のADLが完全自立となり,歩行も院内が短下肢装具とT-caneを使用し自立となった。介護保険は要介護1となり,入院中にケア会議や家屋改修を実施し,退院後は当センターの訪問リハと別事業所の通所リハを併用することとなった。

【結果】退院後早期に自宅でのADLは自立したが,屋外歩行練習を拒否し,生活範囲は病前同様に自室中心となり,Life-Space Assessment(以下,LSA)も6点であった。6ヶ月後に主治医およびPTの助言を機に屋外歩行練習を開始し,加えてご家族とも実施するようになりLSAも16点に向上したが,社会との関わりが薄かった。14ヶ月後に当センター職員と退院患者で構成する卓球サークルに勧誘し,担当者及びご家族と参加。その後月2~3回の頻度で継続し,16ヶ月後に障害者卓球大会に出場し入賞した。これを契機に自宅から600mのスーパーに買い物に行く様になり,LSAも23点に向上した。

【結論】本例は退院後の生活背景,社会背景の問題や歩行能力への不安等が混在し,気持ちが社会参加へと向き辛かったケースである。その中で,生活安定のための支援を継続しつつ歩行機会が増えてきた中で,社会参加を勧めるために本人の関心があった卓球の提案をした。その結果,卓球を行う中でより応用的な動作が出現し,さらに大会で入賞したことで自己効力感の向上に繋がり,買い物に行く等の更なる社会参加活動にも波及したと考える。今回生活期におけるスポーツが,PTが関わることによって,動作面のみならず精神面さらには日常生活行為の向上に繋がることを強調したい。

j-stageより

今回書いた記事とは少し違う内容ですが、このような取り組みも素敵ですね。理学療法士だから!と頭を固くせず、一人の人間として考えていくと多様なアプローチが出来るように思います。

認知症周辺症状の増悪が疑われた術後数週目の急激な摂食拒否に対し、経皮的内視鏡的胃瘻造設術が有効であった1症例

田中 智大 , 立石 和也 , 門林 厚実 , 山澤 義秀 , 鳥山 公成 , 田中 未来 , 福家 由佳

日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(3), 849-852, 2016

要旨

82歳男性。2014年4月歩行中に転倒、大腿骨頚部骨折の診断で入院し、入院5日目に人工骨頭置換術を施行した。術後経過良好であったが、入院4週目頃から突然の摂食拒否、加えて内服やリハビリにも拒否を示し、周囲に対する攻撃性も出現した。

画像診断にて器質的な所見なく、認知症の既往があったことから、認知症周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)の増悪の可能性を疑った。

末梢静脈栄養を併用したが、摂食量は改善せず、入院7週目に NST介入依頼。入院9週目に経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;PEG)を行った。

PEG施行以降、無理な摂食や多剤内服の必要性がなくなって攻撃性や危険行為を生じる機会が急激に減少した。終日の身体拘束も解除できてリハビリへの拒否行為も改善した。

j-stageより

無理な経口摂取によって拒否が生じてしまった症例に対して、PEG造設という医療的介入を行ったことで改善を認めた一症例です。ご飯をいきなり食べなくなってしまったときには色々な理由を考えてしまいますが、多くは精神的問題だと思ってしまいますね。このような関わりは非常にすごいですね…かっこいい…。

おわりに

Free-Photos / Pixabay

文献となると少し特徴的な症例が載っているので、かなり尖ったものを紹介してしまいました。どれもすごいですよね…お話伺いたいものです。

ここで紹介した拒否への対応や心構えはあくまでも一部のものですが、非常に大切なものになります。是非とも頭において、臨床に向かってくださいね!

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