自己効力感を高める成功体験を評価しながらリハビリを進めよう!

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こんにちは、きた(@rehamame )です。

リハビリ領域でもしばしば耳にする言葉、「自己効力感」ってご存知ですか?

平たく言うと「私は出来るぞ!」という感覚のことです。

自己効力感の高低は、患者さんのやる気に影響します。

  • 自己効力感が低い:「どうせ頑張っても…」と、やる気は下がる。
  • 自己効力感が高い:「やれば出来る!」と、やる気が上がる。

この記事では、自己効力感を高める最大の因子「成功体験」の効果的な提供方法を考えます。

自己効力感とは

まずは言葉の定義を知ってみよう!

自己効力感

自己効力感 (self-efficacy) とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知。心理学で用いられる。  wikipedia

つまり、ある課題に取り組む時に

  • 「これは出来る!」
  • 「これは難しいだろ…」

などと感じることです。

自己効力感は人のやる気に関わる理論の中でも一番有名といっても過言ではありません。

臨床場面で「自己効力感が低いからな~」と患者さんを評価する人をちょこちょこ目にしますよね。

学生さんでも「自己効力感を高めるために…」といった考察を行う人もいたりします。

それくらい、よく使われる概念です。

自己効力感に関する一番詳しい書籍です。まずはこれ!

自己効力感とやる気(意欲)

おれ、何でも出来そうな気がする…頑張れそうだ!

自己効力感は人のやる気に大きく影響します。

  • 「出来そうにない…」→やる気が下がる
  • 「出来そう!」→やる気が上がる

これって患者さんのリハビリ場面おいても同様なんです。

  • 「バランス練習いつも上手く出来ないし、出来る気がしない…」→バランス練習したくない!
  • 「歩行レベルが上がってきてるし、今日もちゃんと歩ける気がする!」→歩行練習したい!

だから療法士がリハビリメニューを考える時には、「この課題設定で、患者さんはどう感じるかな~?」を考えながら構築すると良いでしょう。

課題ごとに異なる自己効力感

自己効力感は高い低いがあちらこちらに。

自己効力感の定義では「ある状況において」とされていますので、その課題ごとで自己効力感は変化します。

  • バランス練習に対する自己効力感
  • 歩行練習に対する自己効力感
  • 筋力増強訓練に対する自己効力感

それぞれ異なる自己効力感です。

ちょっとイメージしにくければ、陸上部の学生さんで考えてみましょう。

専門競技が短距離走であれば…

  • 短距離は自信があるぞ!
  • でも砲丸投げは自信ないな…
  • 高跳びもちょっとな…
  • 長距離もやっぱりね…

とそれぞれの競技ごとで自己効力感は違いますよね。

その人の得意不得意などで自己効力感は変化するものなんです。

特性的自己効力感尺度

課題なんて関係ないぜ!ひゃっほー!

となると「課題ごとで評価尺度も異なるのかい!」と思うのですが、まさにそうです。

世の中には色んな自己効力感尺度があります。

「自己効力感 開発」と検索するだけでも、なかなかに個性的な自己効力感尺度が発見できます。

実際、私が過去に患者さんの「立ち上がり時の体幹前傾に対する自己効力感」というものについて発表したときも「その課題に合った自己効力感尺度を作成する必要があるね!」という意見をいただきました。

恐怖心による立ち上がり困難を自己効力感への介入によって改善した一症例

2017.06.17

とはいえ、毎回毎回課題ごとに尺度作成していたらいつまで経っても臨床が終わりません。(尺度作成ってすごーく大変なんです。)

そこで役立つのが、自己効力感を一般的な性質として捉える「特性的自己効力感」というものです。

具体的な個々の課題や状況に依存 せずに、より長期的に、より一般化した日常場面における行動に影響する自己効力感である。 特性的自己効力感尺度の検討:生涯発達的利用の可能性を探る 成田健一 より

ふむふむ。

そしてこの特性的自己効力感を測定するものが「特性的自己効力感尺度」とよばれるものです。

参考文献:特性的自己効力感尺度の検討:生涯発達的利用の可能性を探る 成田健一 

自己効力感のことをちょっと知ってみたいな~!と思う時には、まずはこの評価尺度を使ってみましょう!リハビリ領域における学術でも、自己効力感といえば特性的自己効力感尺度です。参考になりますよ!

自己効力感の源

自己効力感が湧き出てくるぜ!

さて、自己効力感は不変なものではありません。

様々な経験によって、上がったり下がったりします。

こんな経験ありませんか?

  • 「また書類出来てないのか!」と言われ続ける→おれ、仕事出来ないし…と感じる
  • 「いつも仕事頑張ってるよな!」とほめてもらう→おれ、仕事出来るじゃん!と感じる

上司や先輩から褒められたり、怒られたりすることで自己効力感って変化するのですよね。

このような自己効力感の源は、5つ考えられています。

1.成功体験(最も重要な要因で、自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験)

2.代理経験(自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること)

3.言語的説得(自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし)

4.生理的情緒的高揚(酒などの薬物やその他の要因について気分が高揚すること)

5.想像的体験(自己や他者の成功経験を想像すること)       wikipediaより

先ほどの例は「3.言語的説得」になりますね!

自己効力感が高まる成功体験

すらすら記事が書けた!高まる~!(滅多にない)

成功体験とは自己効力感を高める最大の因子です。

では、ここで考えてみましょう。

歩行練習場面において、下記のどれが成功体験に該当するでしょうか?

  1. 杖などの自助具を使わずに歩けた!
  2. リハビリ室1周40メートル歩けた!
  3. 病室でベッドからトイレまでひとりで行けた!
  4. いつもよりも足が高く上がった!
  5. 足が踏ん張れている感じがしっかりしてきた!

チッ…チッ…チッ…チッ…

チッ…チッ…

正解は…

どれも成功体験になりうる!でした!

うん、予想通りですよね。

どれも患者さんにとっては「出来た!」ってなることがありますし、どれも「別に…」となることもあります。

どれがハマるかは患者さんによって異なります。

「どの経験が成功と思うのかな…!?」と考えながら介入していきましょう!

動機づけ理論は非常に役立ちます。

この本を読んでいれば一通り「あ、こんな感じね!」と理解することが出来ますので、是非読んでみてください。

成功体験の評価方法

そう、感じるんだ!

私が臨床で使っている評価方法を紹介します。

  1. 適当に仮説を立てる
  2. 聞いてみる
  3. やってみる

非常にシンプルな3stepで評価しています!

1.適当に仮説を立てる

普段のリハビリ場面・生活場面を観察し、会話していると、なんとな~く見えてくるものがあります。

  • あ、こういうことが好きなんだ!
  • こういうのが嬉しいんだ!
  • こういうのは嫌なんだ!

そんな人間観察から「この患者さん、病棟で一人で歩けるようになりたいんだな!」なんて様子が見えてきます。

◆仮説:成功体験=病棟での歩行自立

こんな風に「とりあえず」で仮説を立ててみます。

出来れば仮説を10個くらい適当に立ててみると、2・3に繋げやすいですよ。

2.聞いてみる

立てた仮説をダイレクトに聞いてみましょう!

「病棟で一人で歩けたら…嬉しいですよね?」と。

患者さん自身が「こんな風に歩けたら嬉しいな~」と自覚している場合には「そうです!」と答えてくれるでしょう。

実際には正解でも自覚していなかったら「んん~よく分からんね」と答えてくれるでしょう。

3.やってみる

2.聞いてみる、で「んん~よく分からんね」と答えられてしまった場合には、立てた仮説を検証してみるしかありません。

実際にやってみて、自信に満ち溢れた様子が生まれてくるかを確認してみましょう!

ハマっているかはいくつかの要素から考えてみましょう。

  • 嬉しいということを発言する
  • ニコニコとしている
  • 興奮した口調になる
  • お喋りが多くなる
  • ポジティブ発言が増える

発言や行動から、〇か✕かは見えてくるものです。

本当に上手くハマった時には「うわっ、様子が全然違う!」と誰しもが一発で分かるくらいですよ。

成功体験の実例

検証は出来ないけど、実感はすごいのです!

上記の評価をしてみて「これだな!」と思った症例を紹介します。

*研究としてカチッと介入していないので、実感に基づいています。

1.足が振り出せること

重度片麻痺患者さんの歩行

  • 長下肢装具を装着
  • 遊脚はもちろん全介助
  • 平行棒内
  • 立位も自分ではとれない

こんななかで「ん~多分振り出しだな!」と思った私は、長下肢装具をオルトップに変更。

介助量は大きくなることを許容して、自己効力感を高めにいきました。

結果としては、遊脚出来る機能はなんとかあったため、少しだけですが振り出すことが可能でした。

「自分で歩けた気がする!これから良くなりそう!」と自信満々になっていただけました。

関連記事:患者さんのやる気を高めるためにあえて独歩練習をするんだ!

2.トレッドミルで歩けること

普段から「あそこでいつになったら歩けるかな~」とつぶやく患者さん。

「もしかしてトレッドミルで歩きたいのでは!?」と気付く私。

「ではやってみましょう!」とスピード遅めですがトライすると…「すごく嬉しい!良くなってる実感が湧いた!」と。

聞いてみると「あれは歩けるようになった人が使うものだから、いつかやってみたいと思ってた」と。

なるほど~!

3.50回反復すること

スクワットを用いた筋トレをしている時。

担当する患者さんは30回で終了。

一方、隣で同じ練習をする患者さんは50回で「まだまだ!」という様子。

それを見てから「私も50回やらないと!」と燃え上がる担当患者さん。

そこから50回を目標に筋トレの日々。

ある日楽々に50回クリア出来た時「ようやく出来た!」と大喜び。他の難しいメニューもガンガン取り組むようになったのです。

タイトルと表紙が良い!

おわりに

オリジナリティあふれる介入を!

心理学の知識をちょっと応用してみると、臨床の視点が広がります。

知っておくだけで便利ですし、突き詰めて知るととんでもない武器になります。

自己効力感は最もポピュラーな概念です。

是非ともあなたなりの成功体験を提供して、燃えるような患者さんになってもらいましょう!

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