理学・作業療法士が初めての抄録作成で知っておきたいポイントを解説!

スポンサーリンク

理学療法士や作業療法士にとって、学会発表や論文作成は臨床と並ぶ重要な活動です。

重要になってくるのが抄録作成なのですが、初めて書く時にはいったい何をどんな風に書いていいのかさっぱり分からないものです。

そこでこの記事では、初めて抄録作成で気をつけたい、いくつかのポイントを紹介します。

この記事ではデータはあるけれども、どのように抄録にまとめていいか分からない…という場合を考えていきますね。

多くの抄録では、下記の区分になっていると思います。

  1. はじめに
  2. 方法
  3. 結果
  4. 考察
  5. 結語

これらに過不足なく、バランスよく情報を入れていかなればなりません。

1.はじめに

研究の背景・目的・意義を載せる

そもそも研究が何かしらの意味を持っていなければ意味がありません。なんとなくデータとってみました!というノリで発表されているものも少なくありませんが、それ何のためやねん…と突っ込みを入れたくなることが多々あります。研究のための研究ではなく、現場にとって意味のある研究を世の中に出していかなければなりません。

そのため、研究をするにあたって調べた事をまとめてみる+あなたの意見を加えてみる事が良いでしょう。

  • 先行研究ではこんな事を言っている。
  • 一方、こんな事が言われていない。
  • だから今回の研究はこんな風にセラピスト業界に役に立つ!

実はここを書くためにはたくさんの論文を読んでいる必要がありますし、あなたが取り扱おうとしている領域についてはけっこー知っているよ、むしろ勉強してない人には1から全部説明できるよ?というくらいでなければなりません。もちろん調べていくうちに「あれ、先行研究と同じことしてしまってる…」なんてことにもならないためにも、しっかりと事前に調べておく必要があります。

ここをきちんと理解して書ければ、そのあとはかなり楽になります。

2.方法

誰が読んでも再現出来るように書く

方法では文章から客観的に再現可能な研究を示すことが必要です。

歩行分析するような研究では下記のような内容が必要です。

  • どのように歩行を撮影したのか:角度・距離・高さ・ビデオの設定・ビデオの機器
  • 歩行する時はどの設定か:食後・運動後・時間・前後のトレーニング

アンケート研究では下記のような内容が必要です。

  • 誰がどのようにアンケート収集をしたのか
  • アンケート項目はどのような対象に行われたのか

「お、この抄録の通りに研究をしてみよう!」と読んで、分かって、実際に出来ればOKです!

とはいえもちろん文字数の限界がありますから、実際には書けない事も多いです。その場合でも一度全ての過程を書き並べてみて、その上で最低限必要なところを残すような具合で削っていくことが良いでしょう。方法なんて別に大切じゃないしな!と思っていたら大間違いです、大切ですよ!

3.結果

シンプルに結果だけを載せる

結果の部分には結果だけを載せるようにしましょう。

量的な研究(数値で結果が分かる結果)ならば、数字が載っていることが望ましいです。

  • 歩行器群の平均歩行速度は31.2±3.12であった
  • 独歩群の平均歩行速度は41.2±2.11であった
  • 歩行器群は独歩群よりも有意に歩行速度が速かった(p<0.01)

このようなものが結果になります。

*上記データに意味はありません。

最近では「〇〇が✕✕より有意に高かった」という表現だけでは査読ではじかれることが多く、細かくデータを載せる事が通過するために必要である場合が多いです。理学療法分野では大きな学会になるほどその傾向が出ています。

ちなみに結果以外の要素は、下記のようなあなたの解釈が入るものです。

  • 歩行器歩行を繰り返す事が有効であることが示唆された
  • 独歩ではバランスの影響が生じた可能性が考えられる
  • 歩行器歩行を継続して練習していたために効果的であった

これは考察の部分に入れるようにしましょう。

4.考察

言える事と言えない事は明確に

考察は基本的には「考察」なので、あなたの考えた事を書いていって構いません。とはいえ、何でもかんでも書けば良いというものではありません。

例えば、「腰痛には温熱療法が寒冷療法よりも有意に痛みの低下を示した」という結果があったとしましょう。

それに対して「全ての腰痛には温熱療法をすべきだ!」というのは厳しいものです。そりゃそうですよね、きっと全ての腰痛を対象とした患者を研究対象と出来ていないわけですから。あなたがデータをまとめるなかで、「今回対象としていた、慢性腰痛で○○ヵ月以上経過している人には温熱療法が良い」など、確実に言えそうな事を、先行研究を交えながら論じていくことが必要です。

言いすぎてしまうと「今回の研究では、飛躍した考察を行っている!」と確実に思われてしまいます。もしあなたがすごく良いデータを出していても、妥当性の低い考察をしてしまっては発表としての価値が非常に低くなってしまうのです。そのため、「今回の対象群から、慢性腰痛に関しては温熱療法が効果的であった可能性が示唆された」「一方で今回対象としなかった急性腰痛に関しては調べれていないので、課題として残る」といったように言える事と言えない事を分けておく必要があります。

提出しただけでも査読に通ってしまうような学会では、ムチャな解釈をした考察をよく見ます。あなたの発表のレベルだけでなく、学会そのものをレベルの低いものにしないためにも、分かってない出来ていない事を認める事は非常に重要な事なのです。

5.結語

簡潔に何だったのか述べる

結語はここまでしっかり書けていれば比較的楽なものです。

  • こんな目的でこんな意義で研究した
  • こんな方法だった
  • こんな結果だった
  • こんな風に考えて、こんな事が示唆された
  • こんな事が課題として残ったから
  • だから次はこれに取り組みます←new!!!

と、抄録の流れを振り返りながら、一言添えるようなイメージで良いでしょう。

おわりに

今回はデータを取って発表するような研究を想定して流れを紹介しました。セラピストであれば症例検討として一症例を評価・治療の経過を示して発表する場合もありますので、その時にはまた違った考え方をしなければなりません。しかし、根本的には同じような流れを汲みますし、注意する部分は似ているところがあります。

上記以外にも気をつけたい部分は下記のようなものです。

  • 誤字脱字が無い
  • 文章表現が一貫している
  • 正しく学術用語を使っている(PTでは「訓練」はダメですよ)
  • 制限文字数の9割程度は埋めている

ここらへんは基本的なところですね。そして、何よりも大切なところは次の1つに絞られるように思います。

  • 理学療法(作業療法)研究としての意義がある

意義のないことをしてもしょーがないのです、せっかくやるなら、業界が良くなるようなものを書きましょう。

とはいえ、最初からそんな意義のあるような研究発表は難しいものです。論文や書籍をたくさん読む、学会に行く口実を作る、勉強する機会を作る…なんでもかまいません、熱い気持ちをもって、将来業界に一石を投じるために、最初の一歩を踏み出しましょう。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。