患者さんのやる気・意欲を評価する『Vitality Index』を紹介!

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患者さんの意欲ってどのように評価していますか?

  • リハビリを頑張ってる姿を見て
  • 日々のリハビリへの取り組みを見て
  • 発言の内容から推測して

様々な方法で評価しますが、どれも数値化出来なくて「多分意欲が高いと思うんだけどなぁ…」と曖昧になってしまいがちです。

そこでこの記事では、患者さんの意欲を評価するのにぴったりの『Vitality Index』とよばれる評価尺度を紹介します。

Vitality Indexとは、その評価項目とは

geralt / Pixabay

虚弱高齢者を対象とした、日常生活動作に関連した「意欲」の客観的機能評価法です。

その評価項目は下記のようになっています。

『施設在住要介護高齢者の意欲(Vitality Index)に関する縦断研究』寺岡 加代・森野 智子より

誰にでも評価して良いのではなく、除外規定や注意点があることも押さえておいてください。

除外規定

  • 意識障害、高度の臓器障害、急性疾患(肺炎など発熱)がある場合 

判定上の注意

  • 1.薬剤の影響(睡眠薬など)を除外。起座できない場合、開眼し覚醒していれば2点
  • 2.失語の合併がある場合、言語以外の表現でよい。
  • 3.器質的消化器疾患を除外。麻痺で食事の介護が必要な場合、介助により摂取意欲   があれば2点(口まで運んでやった場合も積極的に食べようとすれば2点)
  • 4.失禁の有無は問わない。尿意不明の場合、失禁後にいつも不快を伝えれば2点
  • 5.リハビリでなくとも散歩やリクエーション、テレビでもいい。寝たきりの場合、受動的理学 運動に対する反応で判定する。

Toba K et al : Geriatrics and Gerontology Intern 2:23-29,2002 鳥羽研二監修,高齢者総合的機能評価ガイドライン,厚生科学研究所 2003 日本老年医学医学会編集/発行,健康長寿診療ハンドブック,2011 杏林大学医学部高齢医学より

たった5つの質問なので、採点するのがすごく簡単です。

また質問項目を見ると分かるのですが、客観的観察より採点することが可能です。ということは、日々の患者さんの生活を知っていれば、一瞬で採点することが出来るのです。これだけで患者さんの意欲を測定できるのですから、非常にありがたいですね。

私は初患者さんを担当して一週目くらいにはVitality Indexを頭の中でつけるようにしています。日々の生活のことを問診する中で、ちょっと質問項目を加えるだけです。「朝は自分から起きてますか?」「ご飯は食べようという気になりますか?」といった、簡単な質問です。

10点満点で採点され、カットオフ値は7点です。7点以下は意欲が減退していると評価されます。

Vitality Indexとリハビリの関係

stevepb / Pixabay

Vitality Indexは採点が非常に簡単であり、信頼性の高い評価尺度です。そのため、リハビリ領域の研究でも様々なものがあります。ここではいくつかの研究結果を紹介していきます。

施設在住要介護高齢者の意欲 (Vitality Index) に関する縦断研究

寺岡加代, 森野智子 

老年歯科医学 25(2), 115-122, 2010

要旨

高齢者の意欲 (Vitality Index) の1年後の変化ならびに変化に関連する背景因子の分析を目的とする縦断調査を実施した。

調査対象は介護老人福祉施設在住の要介護高齢者118名 (男性25名, 女性93名, 平均年齢 : 84.2±7.7歳) である。

意欲の評価指標は介護者の観察による客観的評価であるVitality Indexを使用した。また意欲の背景因子のうち口腔機能として, 現在歯数, 簡易機能歯ユニット, 改訂水飲みテスト, その他の因子として, 年齢, 性別, 要介護度, 食形態, 食事の自立度, 体格指数, 血中アルブミン値, 共存疾患数, 認知機能を評価した。

分析の結果, 対象者の約6割は1年後にVitality Indexが低下すること, ならびに低下に関連する因子は食事動作の自立度であることが認められた。したがって, 要介護高齢者の意欲の低下を予防するためには, 食事動作の自立を維持することが重要であることが示唆された。

ciniiより

著者は歯科領域の方ですので、口腔機能との関連を評価しています。

一年後の経過ではVitality Indexの低下を認めています。他にも変化した要因は下記になっています。

  • 要介護度
  • 現在歯数
  • 水飲みテスト
  • 食形態
  • BMI
  • アルブミン値

また、ロジスティック回帰分析を行ったところ、Vitality Indexの低下は食事動作の自立度が関連する因子であることが分かりました。

食べるという行為はそれ自体が楽しみであり、生きる目的となるように感じます。そして、食べることで栄養状態を保つことが出来て、リハビリを行うことが出来ます。意欲を保つというのは、人の基本を支える因子なのですね。

高齢入院患者の生活意欲とADL,体格との関連 ─回復期・慢性期の傾向─

林悠太, 久保晃

理学療法科学 Vol. 25 (2010) No. 1 P 143-146

要旨

〔目的〕本研究の目的は,高齢入院患者の生活意欲とADL,体格との関連を明らかにすることである。

〔対象〕対象者は,Functional Independent Measure(以下FIM)の食事項目が5点以上であった高齢入院症例71例(回復期リハ病棟:男12例,女24例,79.6±11.1歳 慢性期病棟:男10例,女25例,83.2±7.6歳)である。

〔方法〕生活意欲はVitality Index scoreより求め,8点以上を高得点群,7点以下を低得点群の2群に分類し,FIMとBody Mass Index(以下BMI)を求めて分析した。

〔結果〕その結果,回復期ではFIMすべての項目で群間に有意差が認められ,慢性期では運動項目の整容・トイレ動作・排泄項目とすべての認知項目,BMIに有意差が認められた。

〔結語〕回復期ではADL能力全般が,慢性期では身だしなみや排泄といった人間としてごく当たり前の動作能力が,生活意欲と関連してくると考えられる。

j-stageより

8点以上を意欲高い群、7点以下を意欲低い群として、回復期と慢性期で各群の体格やFIMを比較しています。

その結果、回復期に入院する患者さんではFIMの全ての項目で有意差があった。一方、慢性期ではFIMではごく当たり前の動作能力(整容・トイレ動作・排泄・認知機能)とBMIに有意差があったとしています。

回復期患者さんにおいて意欲が高いから、リハビリを頑張ることが出来て、FIMが高くなるのか…それとも、FIMが高い人が意欲も高いのかは分かりません。どちらもあるように感じますね。

慢性期においてBMIに差があったのは、意欲が高い人ほど食事摂取量に差があったのではないかと考察しています。確かに意欲にあふれているような人は、ガンガンご飯を食べるような気はしますね。

このように、Vitality Indexにて評価された「意欲の高い人」は日常生活自立度とも関連しているようですね。

高齢障害者に対するVASを用いた主観的健康感に関する調査

理学療法科学 Vol. 21 (2006) No. 1 P 31-35

要旨

老人保健施設に入所する高齢障害者54名に対して,Visual analog scale(以下VAS)による主観的健康感の調査を行い,幸福感や運動機能,認知機能,意欲との関連性を検討した。

結果は,VASによる主観的健康感が高い群の方が,中等度の群に比べてFIM認知機能が低い傾向が認められた。また,PGCモラールスケールとVASによる主観的健康感は弱い相関が認められた。

これらの結果から,高齢障害者に対してVASによる主観的健康感を聴取する際には,認知機能の客観的評価とともに解釈する必要性はあるが,幸福感だけではなく健康感を含めることで,より具体的なリハビリテーションの目標設定が可能になるものと推測された。

j-stageより

この研究における結果では、Vitality IndexとFIM運動・FIM認知・MMSEにそれぞれ相関があることが分かりました。さきほど紹介した論文と似ていますね。色々と読んでいると、Vitality IndexとADLの関連を評価しているものはたくさんあります。

メインテーマである主観的健康観や幸福感との関係は認めなかったとしています。Vitality Indexの点数が高値な患者さんが多かったためではないかとしています。Vitality Indexがばらばらな患者群で考えていくと、またおもしろい結果が出るかもしれません。

その他、学会発表でも

私は患者さんのコミュニケーションを切り口に、患者さんの意欲・やる気・モチベーション・動機づけといったキーワードを中心にあちらこちらの学会を回っています。Vitality Indexを使った研究はたくさんされています。

  • 日常生活との関連
  • リハビリ効果との関連

このあたりを何人ものデータから導き出したり、シングルケースで導き出したり…色々です。どれも結論としては「意欲ってやっぱり大事だよね!」と結論づけているものが多いように感じています。

おわりに

geralt / Pixabay

Vitality Indexは非常に評価が簡便なツールです。

なれれば1分もかかりません。

患者さんの意欲がリハビリ効果やADLに影響することは、上記で紹介したように明らかだと思います。リハビリ職が患者さんの意欲を1分以内で評価出来て、それが予後予測に影響する因子だとしたら…やるっきゃないでしょ!

是非とも、日々の評価にVitality Indexを使ってみてくださいね!

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